魂揺さぶる自分探しの戦い

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ダンジョンものと呼ばれるような、仲間とともに妖魔あふれる敵地を踏破するなどという単純な物語ではない本作。

主人公はれっきとした現代社会の住人で、闘う相手は不気味な靄、仲間は少女ただ一人。

作中ではデジャブ(既視感)の対義語であるジャメヴ(未視感)を取り扱っている。何度も同じ時空をさまよっているにもかかわらず初めての経験のように錯覚してしまう少女月白と主人公は行動をともにする。

影が迫る塔内で、その影から逃れるために、主人公は自身のトラウマを想起させる化け物と戦う。

案内役のようなものと自己紹介した天使の謎、塔の謎、経験したはずの過去を実感できていない月白という少女の謎。

謎が謎を呼ぶなか、主人公は月白とともに戦い、少しずつ強くなっていく。

過去と向き合うということの魂を削るような痛みを経て頂上を目指す二人。無事に頂上に到達できるのか、謎は解けるのか。天国でも地獄でもない「辺獄」という空間で、心象世界のなかに囚われた自分自身を主人公は救えるのか。

思い出すと痛いような過去を持っている方、強くなりたいと思っていてもなかなかうまくいかない人、そんな人々に読んでほしい作品です!!



ダンジョンものと侮るなかれ


投稿者: 春瀬由衣 [2018年 09月 11日 04時 55分]
特段取り柄のない主人公に、美少女の助っ人。そして見上げれば白亜の塔に、迫りくる影。

そして主人公は、天使を名乗る存在から一見理解しがたいことを告げられる。

――この世界は、辺獄であり、主人公の心象世界である、と。

階をあがるにつれ、敵である〝影〟の強さは増し、時折主人公のトラウマを刺激する。

少女は華奢な身体の割に強く、敵を薙ぎ払っていく――

「また助けられたな」

そう感謝し、連帯感を持った彼女は、非情にも主人公に最後の試練を与える――。

永遠に来ない〝何時か〟に自分を閉じ込める、という表現が、自分の過去と照らし合わせてもしっくりきました。

理想の自分になれなくて、悔し涙を流す全ての人に読んでほしい傑作です。

 心象描写とバトルシーンに見ごたえがあります!!ぜひご覧ください😊

春瀬由衣

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