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【速報】こマ!? 孤児だった俺が、殺人ウイルスの蔓延した世界で救世主を目指すことになったんだが!?

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近未来SF、骨太な世界観が魅力 小説へのリンクはこちらから [リンク] 本作、題名が長く読みにくいですが中身はとても濃厚です。まず、本作の舞台はHKVという罹患し発症すれば必ず死に至る恐ろしいウイルスが流行した未来の(恐らくは)地球です。 HKVに対する対策として、脳のデータを 人造人間 にインプットさせて生きながらえる方法が示されましたが、その方法を提案した帝国は人造人間化した国民を強い支配下に置きそれに対し国民も奇妙なまでに従順です。 それに対し、 「ヒトならざるもの」 になることでHKVの発症を避けようとするレジスタンス組織が現れました。 HKVも人造人間化技術も帝国による陰謀と主張し反帝国運動を行っています。 物語は、題名にもあるようにとある三人の孤児の視点で進みます。 戦争などの影響で親を亡くした三人の子供たちは、心の拠り所にしていた孤児院も帝国軍に焼かれてしまいます。時折残酷な描写もあります、 無事「ヒトならざるもの」 セリアンスロープになった三人が、どう世界の救世主を目指すのか、その成長譚の側面もあり、壮大なSFの側面もあり、三人の過去とも向き合う物語であると感じます。 まだすべて読み切れたわけではないのですが、とてもおすすめです!  サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

手に汗握るアクション「悪党たちのエデン」

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胸アツアクションと少年の成長譚 投稿者: 春瀬由衣 [2019年 10月 06日 15時 38分] まず第一の見どころは、最初に提示される主人公に関する謎です。なぜ義理とはいえ家族に見殺しにされかけたのか、そして彼を匿うシークレットという存在。これらの謎は最終章に向かうにつれドンドン明らかになっていきます 次にアクションです。善良な市民に他ならなかった主人公が意図せず足を踏み入れてしまった裏の世界ですが、庇護者のシークレットは彼に護身術を叩き込みます。彼が徐々に裏の世界の人間として使い物になっていくのがいい。そしてシークレットの真意とそれを蹴った主人公.°(ಗдಗ。)°. 楽しませていただきました!おすすめです 小説家になろうほかで第一部が完結したところの「悪党たちのエデン」をご紹介します。上にあげたのは私自身が作品ページに投稿したレビューです。 小説リンクはこちらから!「悪党たちのエデン」 小説家になろう http://ncode.syosetu.com/n7970fs/ ノベルアップ https://novelup.plus/story/331184553 冒頭に示される謎 私が神話に関する小説を書くための勉強に読ませてくれとツイッター上のハッシュタグを用いて作品を募集したときに、応募してくださったのが作者の紅玉さんでした。 読み始めてすぐに引き込まれるのは、 主人公が否応なく 巻き込まれている 点でしょうか。卑劣な毒ガス事件の犯人として仕立て上げられ、しかもその犯人は死んでいる。自分と同じ歯形の偽物まで用意されて強制的に裏の世界にドロップアウトさせられた少年が今作の主人公です。 見たものをすべて記憶できる超記憶症候群というある種の「障害」を主人公は持っています。両親を失い義理の家族になじもうと勉学に励み賞まで獲得するも、健常者からすると「卑怯」ともとられてしまう能力のせいで――あるいはもともと疎まれていたのか、主人公は火災のなか見捨てられてしまいます。 そんななか、颯爽と現れて主人公を救う「シークレット」と名乗る女性、この人にもまた謎が多い(笑) ヤクザに殺し屋に…… 自称コンサルタントのシークレットに言われるがまま、リ

緻密な世界設定とメカオタクの活躍「神の国の奇跡」

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作品ページ 神の国の奇跡|ノベルアップ かわいい相棒ぺディアと異世界冒険 突然の転移 いわゆる「異世界転移小説」というジャンルの小説群の中で、特に本作が優れていると思われるのは、主人公が飛ばされる異世界の設定です。 主人公が転移した先の世界で「ここは異世界だ」と知覚するのは、異世界に魔法というものがあるからです。しかし、その異世界側の住人が主人公を自分たちの世界の住人ではないと知覚できるのは何故なのでしょう。本作では、その理由の一つとして、我々の住む地球は異世界と度々交流しているということになっています。 異世界は主人公側からは神の国と言われており、異世界に危機が訪れた時に地球から能力者が召喚されるということです。ただ、本作の主人公、 残念ながら俺Tueeeにはなりません。そこそこ苦労します 笑 第一に、異世界では魔力を持たない人は「 マジボ 」といわれ強烈な差別を受けます。第二に、異世界の勢力図は我々の世界と同じく単純ではありません。異世界での困難を解決するために呼ばれた主人公を、付け狙う勢力も存在します。 そんな困難を、検索機能とストレージつきの優秀な魔石「ペディア」とともに乗り越えていきます。 主人公のメカオタクぶりにほっこり 第二の魅力は、主人公のメカオタクっぷりです。幅広い知識で異世界に産業革命を起こすべく作戦を巡らしますが、壊れてしまった銃の試作品に謝罪の言葉を贈り、 まるで心のある人を扱うように大事そうに扱います 。その様子を見て魔石のペディアも若干引き気味笑 しかし、その主人公の性格、異世界にいい変化をもたらすんじゃないかと私は踏んでます。 そもそも異世界では、人格ある魔石のペディアも宿などでは「携行品」扱いされます。撃たれても壊されても再生できるペディアは、その能力ゆえに、恐らくは人らしい扱いをされたことがありません。 ペディアも一つの人格として扱い、体を気遣う主人公に、多分ペディアさん惚れてます。 笑える展開も 魔力がないことを知られないために作戦を練ったり、周囲の人々との心温まる交流もあり、主人公は少しずつ異世界に馴染んでいきます。 主人公が呼ばれた目的は達せられるのか、異世界産業革命の行方は、などなど、展開に目が離せま

次々に変わる人格に不気味な街――見逃せないサイコホラー「敗者の街 ― Requiem to the past ―」

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画像: 敗者の街 ― Requiem to the past ―|ノベルアップ この小説を読んで、正気のままでいられますか? 序盤は混乱するかも……? というのも、主人公や周囲の人、ガッチガチに憑依されたりして人格がポロポロ入れ替わります。私が読んだところではだいぶコントロールできているようですが、序盤は100%乗っ取られてますよねこれ(違う?) メル友からのメールを元に、曰くありげな街に潜入捜査をし始める兄弟ですが、その行き先の街が変なのです。人によって見え方が違ったり、自分には見えるのに誰かには見えない人がいたり…… 〝変な街〟の正体は、今のところ 「負の感情が集まった街」 としか言及されていません。自分を強く持たないと自我が汚染されていく、というような描写もありただ事ではないというのがわかっていただけたでしょうか? 幽霊の首ポロ? ローランドという、呼べばでてくる系の幽霊、この人にはとても謎が多い。死んだにもかかわらず自分が死んだことをわかっていない幽霊です。 列車事故で死んだらしく 唐突に胴体を落とすことがあります 。そういうの苦手な人は注意が必要ですね。ただ、この人の過去が謎の街「敗者の街」とそこに潜入したロバートの「いわく」を解き明かす手がかりになると踏んでいます。 年下の弟に優しく気配りをかかさずいつも笑っており、そんな人の心の闇とは、いつから彼は〝壊れた〟のか……それは読んでからのお楽しみとして! みどころ この世の存在なのかすら怪しい「敗者の街」ですが、そこに住む登場人物がバリエーション豊かで面白いです。 両性具有の男性レヴィ、ファンが自殺する絵を描くSangことカミーユ、そして彼の手に憑りつく幽霊たち、片腕の警官アドルフなど、誰もが特徴的で、どこかちょっと怖い。 そしてなにより、メールには「RとAが名前につく人間には注意しろ」とあったり…… 精神をおかしくする街で、誰を味方にし誰と距離を置くかも物語に関わってきそうです 「ページをめくる手がとまらない!」ではない、 何度もページを戻して「兆候」や「ヒント」を探したくなる一作 です。 最後まで読み次第またレビューしたいと思います\\٩( 'ω' )و /// サ

現代×アポカリプス×魔法少女「魔法少女はそこにいる。」

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画像: 魔法少女はそこにいる。|アルファポリス かわいい魔法少女たちの群像劇に酔え ――といいつつガチのバトル要素もあります とかく様々な面から心をくすぐってくるこの小説。舞台は現代日本ですが、魔法界から魔法少女が次々にやってきます。そして突然戦争をおっぱじめるのです。 作者の五月七日ヤマネコさんご自身が描かれた主要キャラ「キルカ」が上に挙げた表紙に見ることができますが、なんでこんなかわいい子の服の半分に血がべったりついてるんだ……となる人も多いはず。その謎は現在作中では「一族に掛けられた呪い」としか説明されておらず真相が気になるところ。更新が待てませんっ 20歳未満の女の子たちが突然異世界からやってきて目の前で魔法を振るうのですが主人公の男の子はただの高校生。一体どうなるのか! 魔法少女が魔力を失う「魔力上がり」を避けることができる唯一の手段が「天子」と呼ばれる 魔力を持つレアな人間 と契りを交わすことだと力説され、それが自分であると言われる主人公。何が何だかわからないままに魔法少女たちの婿取り合い合戦に巻き込まれ意図せずハーレム状態。 そんななか魔法少女たちにそっくりな一群が人間側に攻撃を加えてきます。魔法少女は突然の外敵の出現に団結して”偽物”を叩こうとするのですが、どうやら”偽物”と本物のどちらかが敗れるともう片方が卒倒するらしい。どういうことだ!?何が目的だ!? 「魔法少女に良き死を、我々に良き死を」 というスローガンを掲げる”偽物”たちの存在が不気味です。ページをめくる手がとまりません。 悪役がいない群像劇 では偽物が悪なのかと言われるとそうでもありません。そもそも偽物たちは魔法少女たちが住む魔法界とは違う世界に住み、彼女ら自身の生活を送ってきました。 魔法少女たちと姿形がそっくりで名前も似ている彼女らは、彼女らの住む世界が作られた真相をある男から聞かされ、「オリジナル」と呼ばれる魔法少女たちとの戦いを決意します。 とある魔女が愛する人の死に悲しんで、死んだその人の 魂を育てる ために作った偽の世界。作中ではフラスコと呼ばれますが、それが彼女らの住んでた世界だったのです。 魔女の愛する人が死ぬ18歳までの時間をループし続け

周囲の人間は敵だらけ!死んだはずの死刑囚は冤罪を晴らせるか!?「BUG 広域警察極秘捜査班」

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画像: BUG 広域警察極秘捜査班 (新潮文庫nex)|Amazon 存在が秘匿される部署のメンバーは過去に傷がある あらすじ 冤罪により死刑を言い渡され、10年にも及ぶ刑務所生活を強いられていた水城は、ハッカーとしての能力を買われ死から逃れることと引き換えにBUGという捜査班に加入します。盗聴や盗撮を生業とするBUGは、沖田と名を変えた元死刑囚・水城が起こしたとされた飛行機墜落事件の生存者の動向を探るよう命令されます。 外敵の侵入を阻むのではなく、内側から誰も逃げないように厳重な警備システムが施された「ハウス」のメンバーは訳ありげで、 互いに干渉しない代わりに相互監視も担っています 。現場の指揮官的存在である滝は、幼い息子と共に住んでいます。曰くありげでしょう? BUGのメンバーとなった沖田にはGPSの入った足枷が嵌められ、行動をリアルタイムで把握される息の詰まる生活を強いられます。そんななかで、なんとか事件の真相を「生存者」から聞きだすべく相互監視の包囲網のなかで健闘する沖田だったが、プロファイリングと心理学に通じた滝に計画を見破られてしまう。沖田は無事に計画を完遂できるのか? タイムリーな話題がふんだんに たわいもない案件に過ぎなかったはずの任務から、自分にかけられた冤罪事件の真相に少しづつ迫っていく過程がスリリングでドキドキします。BUGのメンバーもBUGを指揮する上官も信用できず、 仲間でさえ心のうちが読めないまま 、沖田は冤罪事件を自らの手で解き明かすことを誓います。 一方飛行機墜落事件の生存者は小さな島国を拠点にした仮想通貨「Lex」の開発に携わっており、世界中が島国と開発者の動向を固唾を飲んで見守っています。情報をいち早く手に入れたい各国のハッカーからの攻撃にも晒されます。 投機目的の仮想通貨にはせず、通貨の価値を安定させて世界中を繋ぐ経済圏を作ろうという志は、 従来の通貨で市場をコントロールしてきたいわゆる既得権益から煙たがられていきます。 そしてこの仮想通貨は、沖田が冤罪をかけられた飛行機墜落事件にも関わっているようで……!? ハッカーの物語なのにマンションのゴミを捜査するローテクな描写に物足りないという意見もAmazonレビューでありますが、むしろ私は

情報過多の現代人必携の書「思考の整理学」

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画像: 思考の整理学|Amazon ”知る”ことだけに忙殺されないように 忘却の美学 ※本作は恐らく評論とかエッセイとかそういう分類にあるものと思われます。いつもの小説の紹介ではないのでご了承ください。 作中では作者はずっと、学校が「グライダー人間」の養成所であって自律飛行する「飛行機」は育成しないことに対し問題意識をもっているようです。 知識を多く持ち(記憶)、それを必要に応じて引き出せる(再生)が知的なことと長らく思われてきましたが、その能力はコンピュータに取って代わられつつあり、さらにその能力だけでは既存の知識で歯が立たない 「未知」に対してあまりにも脆弱 になってしまいます。 勉強はできるけど社会では役に立たない 、そんな学生はこれにあたります。 人間にしかできない領域が想像的な思考であり、本作はその手引書のようなものです。 作者は文中で度々「見つめる鍋は煮えない」ということわざを引用します。 切羽詰まってそれだけを考えていると事態はなかなか進まず、他のことをしていたりしてふと気がそれたときにこそ重要なアイデアは生まれると、自身の体験からも引用し述べています。 頭の中央に置きすぎず、少し横に置いておく。それで消えてしまうほどのことは大したアイデアではなく、残ったアイデアこそ大事にする。そんなことが書いてあったように思います。 「寝て起きたら問題が解決していた」偉大な先人たちに学び、睡眠により適度に忘れ整理された朝の時間が思索にとても有効だと言っています。 夜型の私には耳が痛い です。確かに夜ほど考えって迷宮入りしますし何も生み出さない傾向あります💦 忘れるためのメモと散歩 個人的に目から鱗だったのは、 忘れるためにメモをとる 、ということでした。 いいアイデアと思ったものをあえて置いておき熟成させることで、要らない贅肉を削ぎ、関連性から新しいアイデアを産み、より純化させていく。覚えるためにノートをとるよう教えられてきた学生としては真逆のことを言われているようです。 作中には作者の具体的なメモ術も述べられており、熟成の度合いによってノートを変え転記するほどのこだわりぶりが伺えます。(詳しいことは購入して確認してください笑) そして次に適度に忘

奔放な天才肌二人の才能を世に出した少年の成長記「長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く」

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画像: 長崎の竹蜻蛉は誰よりも天高く|Amazon 少年ゆえの無鉄砲さが、激動の時代にあるべき生き方を模索していく 実在する人物が主人公 堀江鍬次郎という今の伊勢にあたる安濃津領から長崎に遊学に来た少年と、長崎の”問題児”こと上野彦馬の二人の友情の物語。鍬次郎の方は武士であり、「国の領主さまの役に立つ」ために長崎へと出港する。一方彦馬の方は武士ではない出自で、自由で天才肌ゆえに、世の不条理にも気づきやすい性格をしています。 お家のために蘭学を学べと口うるさい家族に反発し、自分の興味に従い 舎密学(今の化学)を追求しようとします。一方真面目臭い鍬次郎はというと、真面目で努力家であり細かいことにも気を配れる男でありながら、どこか彦馬と似た気風の領主、 藤堂高猷に惹かれ憧れています。 モチーフの使い方がうまい そんな鍬次郎と彦馬は 最初はことあるごとに対立 します。鍬次郎が古里から持ってきた(くすねてきた?)大事な父親の小刀を「長崎の鬼」である彦馬が奪い、そのことが鍬次郎にばれたときには鍬次郎は大層怒りました。 一方彦馬はといえば、 舎密学から知識を得て「 湿板写真」の現像に伝習所の講義をすっぽかして取り組んでおり、そのために牛の脳が必要ということで牛の頭を切り過ぎて(それほどエグイ描写はないはずなので大丈夫) 大事な鍬次郎の刀を刃毀れのボロボロに してしまっておりました。 しかし、鍬次郎は鍬次郎で奇しくも 彦馬と同じ写真術に興味が沸き 、世間の情勢から蘭学か兵器学を学ぶ人間が多いなか 舎密学に没頭していきます。 小刀というモチーフは、二人の別れのときに、女好きで鍬次郎の手を焼かせた彦馬の不器用な優しさを描いてもおり、全編通じて意味を成す小道具でした(ちょっぴりホロリとなります)。 そして題名にもある「竹とんぼ」。努力家で才能もある鍬次郎ですが、 舎密学に没頭しすぎて遊んでいる(?)のに試験の成績だけはめっぽういい天才肌の彦馬に触れるにつれ、「 彦馬の才能を世に出す 」ことに力を割くようになります。 飽きっぽい彦馬のために写真の準備と片付けを行い…… 彦馬のお母さんかよ ……(笑) そして後に長崎伝習所の教本にもなったという「 舎密局必携」という本を協力して書

バディ小説大賞受賞の実力を見よ!「―空― 戦国あやかし恋華」

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画像: ー空ー戦国あやかし恋華|Amazon 天台宗の僧侶と神獣の牛「塩竈」が、美しい少女に秘められた悲しい陰謀を暴く キャラがたっており誰かを必ず好きになる 名高き神獣の子でありながら、神力で大きな仕事ができるわけでもなく、物に宿ったいわゆる「残留思念」のようなものを読みとることしかできないことを気に病むのは塩竈(しおがま)という名の牛である。 金槌ゆえ水の中を泳ぐことはできず、生に無頓着な相棒の僧侶:空穏(くおん)を心配するという役回り。 一方空穏はといえば、神獣を救ったことと引き換えに「病の根源が見える力」を授かり指圧で行く先々の病人を癒す旅人。般若心経の空即是色色即是空をよく引用し、人の人生をあってないような「空」であるとして自己犠牲をためらわない。 ここに書いたすべての要素が、クライマックスの感動に繋がる のは流石と言わざるをえません。ちなみに私は塩竈くん派です。 塩竈「ブモォ?」←起こしてしまったごめんね(笑) 予想外の黒幕とその動機が胸に迫る 湖に浮かぶ奇妙な怪異とそこから生まれた真っ白な少女を巡る謎を解き明かすというスタンスの本作、戦乱の時代ゆえの過酷な生活も描かれており、リアリティが胸に迫ります。 戦争などで夫を亡くした未亡人に慈悲を以て接する尼僧、患者の振りをして僧侶である空穏を誘惑する女、そのすべてが真相に深くかかわります。 主人公らに真摯に協力してきたあの人がまさか――!という衝撃、そしてその動機の切なさや。 怪異というものを扱う以上、王道の歴史小説とは言えないのでしょう。しかし、その分キャラ設定と物語で魅せてくるのは圧巻!子どもを持つ母親の皆さんは、恐らく 主人公サイドと敵サイドの両方に感情移入してしまう のではないでしょうか。 和風ゆるふわファンタジー、しかしちょっぴりミステリ要素もあり。そんな枠にはまらない「バディ小説」を、ぜひご覧ください!! サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

主人公「猫猫(マオマオ)」の筋の通った観察眼に脱帽『薬屋のひとりごと』

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画像引用: Amazon 商品ページ:「 薬屋のひとりごと 1-8巻 新品セット 」 後宮に拉致し連れてこられ息を潜めて生きていたが、持ち前の探求心でつい厄介事に巻き込まれてしまうお話 シンデレラストーリーではないという魅力 この物語の第一の魅力は主人公のキャラ設定にあると思います。 妓楼(ぎろう)のすぐ側の薬屋の主人を「おやじ」と呼ぶ主人公猫猫(マオマオ)は、 ある意味住まいの場所にそぐわないともいえる 豊富な薬の知識と教養を備えた「おやじ」の影響からか薬と毒物に関して 周りのものがドン引きしてしまうほど の興味と関心を持っています。自分の身体を実験台にして毒に慣らしたという逸話を持ち、豊富な薬品の並ぶ部屋では嬉しさのあまり、普段寡黙で不愛想な彼女が「奇妙な踊り」と評される不思議な動きをしてしまうほど。毒オタクとでもいうのでしょうか。対象物は違うが気持ちはわからなくもない。 一方、毒や薬以外のものにはまったく興味を示しません。宮中で有名な美貌を持つ宦官の前でも陶酔することなく下劣なものを見るような目をしてしまうことも多数で、他者が自分に対し重大な誤解をしていても日常に差し障りがないと思えばさらりと流してしまいます。 毒オタク、相当こじらせてます 。 そんな主人公が宮中という(主に人間関係などが)面倒極まりなく(彼女が)好むはずのない場所に来たのは勿論本人の意思ではありません。彼女は万が一帝のお手付きになる女性を輩出したいという商家の人攫いによって誘拐され連れてこられてしまうのです。 興味のベクトルが常人とは違う 兎角面倒事を嫌う彼女、万が一帝のお手付きになったら色々と面倒だからとそばかすをわざと作り目立たぬように仕事をこなして 二年の年季を何事もなく終えることを至上命題とします 。普通の女の子なら自分を着飾って帝の目に留まろうとするのでしょうが、なにせこの子は毒か薬かにしか興味がないもので。 そんな彼女ですが、つい、ほんの出来心で、 先帝の側室の呪いと噂された乳幼児連続不審死に興味を抱いてしまいます 。 つい、見にいってしまえば妃二人と医師が言い争っており……そこで、猫猫はすぐにことの真相を見抜いてしまいます。ネタバレしそうなのでこの辺で控えておきますが、その真相を誰かに

青臭い思春期を青春と呼ぶのだろう「セパレイトブルー~青春水泳群像~」

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Follow @separate_blue15 作品URLはこちら [link:セパレイトブルー~青春水泳群像~] エロとサボりがお友達()の自称水泳部員の本気を見よ 実力がありながら水泳部の練習に全く参加してこなかった主人公駿と腐れ縁たちが、プールに戻る決意をしたのは、天野という美女が水泳部に入部してきたからだった。 不純極まりない動機でしか動かない坂東駿だったが、天野に意味深な反応をさせた田宮誠一というスイマーに完敗してから漢に目覚め、鬼監督とともに厳しい練習に明け暮れる。 青臭すぎてしょーもない、けれど誰もが一度は体験したはずの青春がここにあります! 男子の羨望の的のヒロイン、マズくて汚い(坂東談)行きつけのラーメン屋など、青春群像の王道を踏みながらのオリジナリティ溢れるストーリー 本当に男子高校生の脳みそのなかってこんなんなんだろうなって笑っちゃうこと必至(笑) 個人的には真面目系天然のナタリーがお気に入りです。 笑いあり涙ありのエブリスタ青春群像の金字塔を、ぜひこの機会にご覧あれ! 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

【文フリ広島戦利品】幸せなまま死にたい少女と現実主義者の男の子「琥珀」

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画像: 津蔵坂あけびTwitter 琥珀になりたい――それは本心か、世迷い言か  今回ご紹介するのはTwitterでお世話になっている津倉坂あけびさんの同人誌です その名も「琥珀」 琥珀は 木の樹液が長い時間をかけて固まったもの です。その事実が作中ずっと読者の脳内に留まり続けます。 原因不明の伝染病:サスペクトパシーが新興の伝染病として認知されだした時代。身のまわりのすべてのものを疑い、医者の治療も拒否して最後には亡くなってしまうという恐ろしい病です。しかし主人公は初めそのニュースを どこか「他人事」として捉えます 。 一方主人公には千尋という同級生がいました。成績優秀で理系科目も文系科目も出来がよいのですが、一般的に数学ができる人は理系、のような括りに染まらずに彼女自身は文系を志しています。彼女は文芸部のようなものにも所属しており、自身の ”本能の発露”としての 詩を愛しています。 そんな彼女が、徐々におかしくなっていきます。 日常の連続性を極度に疑いだし、やがて自傷に走ります。 琥珀のなかで溺れ死んだ蟻のように幸せなままで死にたいと書いた詩を、駄作と断じます。自分の知らない自分を見つけられるから愛していたはずの、自分が書いた散文詩を否定する――それはある種 彼女自身の認めたくない自分 だったからではないでしょうか。 千尋はサスペクトパシーと診断されます。伝染病ゆえに彼女は隔離されます。そんな彼女に対し、主人公は一時「彼女が病気でよかった」と思います。彼女が変わってしまったことを自分の責任ではないと思いたかったからです。 ……めちゃくちゃ内容は重いですが、それゆえに釘づけになり、憑かれたように読み進めてしまいます。 主人公空太の失敗と成長、そしてそれを意に介さない病の無情、悲恋…… 文学フリマに初めて出向き購入した本作ですが、 とっってつもなくおススメしたい 作品です。 結末をぜひ見届けてください。 エブリスタでもウェブ版もあるようです→ 琥珀/エブリスタ 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

ほのぼの日常に癒される「少女「……」ウェルカム」

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画像: 少女「……」ウェルカム/エブリスタ とにかくかわいい。少女がかわいい。 今回ご紹介するのは、ほのぼの系台本形式の連作短編です。 その名も 「少女「……」ウェルカム」 登場人物はカフェを営む「店主」、可愛い女の子の「少女」、カフェに来る客の「男性客」、女の子に目がなくちょっと危険な(笑)「女性客」など一般名詞の人々です。 あ、店主の腐れ縁の「友人」忘れてましたw カフェの手伝いをする少女(しょうちゃん、とかおちびちゃん、とか呼ばれてるらしい)は基本無口で、顔でなにかを訴えるのですが、長い付き合いの店主がいちいち解読して説明してくれます(´ω`*) あと腐れ縁の友人はカフェの倉庫(?)を自分の物置き場みたいに使っており(どんな関係なんだ(笑))得体のしれないものが倉庫からでてきて事件(といっても微笑ましいもの)に発展したりします(ノ∀`♥) 女性客は基本社畜なのか疲れ果てており、少女への癒しを求めて来店しますが、少女への愛がおおきすぎるあまりよくポリスを呼ばれます。端的にいうとロリコン? とにもかくにも、どこかの路地裏に、あなたの家の近所にあるかもしれない儲かってなさそうなカフェで、店主とその仲間たちがドタバタとにかく楽しそうなのです。 何も考えずにとりあえず笑ってほのぼのして友人が格闘ゲームでボロ負けするのを読んでいたいって方にとてもおすすめです('ω') 三 ( ε: ) 三 (. .) 三 ( :з ) 三 ('ω') 三 ( ε: ) 三 (. .) 三 。・*・:≡(    ε:) 頭を空っぽにして、どこかにあるかもしれないカフェのお話をお楽しみください(ง •̀ω•́)ง✧ 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

魔女の前世を持つ女子大生の復讐「Witch Of Psychopath」

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画像: Witch Of Psychopath/エブリスタ 〝暗黒の渦〟に囚われた弟子を助けに行く師弟愛が泣ける 今回ご紹介するのは、伝説の魔女エルフィナの生まれ変わりの女子大生の復讐譚です。 題名は 「Witch Of Psychopath」 大学進学後にヤリサーに捕まってしまい、来る日も来る日も性行為を強要される自堕落な生活を送っていた凛星という女性と、彼女を救う魔法使いの銀行員のお話です。 凛星は銀行員の三上に弟子入りし、魔法を覚えていきます。しかし、彼女の前世は強大な力を持った大魔女エルフィナでした。 エルフィナの残したとされる書物や、エルフィナの記憶を手に入れたい組織が凛星を狙うようになり、事態は深刻になっていきます。そしてとうとう凛星の復讐心が途方もなく膨れ上がり、ヤリサーのメンバーに次々と復讐をしていきます。そしてついに、強大な魔女エルフィナの魂が凛星の身体を乗っ取ってしまい……? ところで作中世界では、魔法使いは復讐などに心を奪われすぎると「暗黒の渦」に囚われてしまい心をなくしてしまいます。凛星ももまた、その渦に囚われてしまいました。そんな凛星を師匠である三上が決死の覚悟で救い出すシーンは圧巻です。師弟愛というのでしょうか? 途中残酷な描写も多くあり苦手な方は苦手かもしてませんが、これも好きな人には刺さる作品です!ぜひご覧ください\\٩( 'ω' )و /// 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

世のタブーに切り込む視点「化け物の消息」

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画像: 化け物の消息/エブリスタ 処女を食らう化け物を巡る女性たちの憎愛 今回ご紹介するのは、処女を食らう大蛇の姿の化け物と人々の関わりを、様々な時代を舞台に描く歴史ファンタジーです。 題名は 「化け物の消息」 処女を食らう化け物は古代から現代まで変わらず存在しているとされ、身体は固く銃弾も効かず、ターゲットになった女性を守るべく戦った男性たちは無残にも敗れ去り、 愛する人が化け物に食べられるのを見守るしかありません 。 一方、愛し合った二人のうちの、男性側が処女と信じていた女性が、なぜか化け物に食われなかったら……?  「喰われるも地獄、喰われぬも地獄」 という作者の狭山直人さんのキャッチコピーはまさに作品を表すにぴったりで、食われなかった女性たちの「処女ではなかった」という事実もまた彼女たちを苦しめます。 また、作者の視点は鋭く、 話題になった時事問題をいち早く取り入れる ことでも知られています。最近更新された章では、医科大学が女性と浪人生の点数を一律減点した問題を取り上げていました。 フィクションながら風刺のきいた作風には賛否両論あるとは思いますが、好きな人は好きに違いない! 毎回〝化け物の消息は、ようとして知れない〟で締まる 章の終わりに病みつきになります。 恐らく作者がなんらかの理由で筆を折ってしまうまで続くであろう短編連作です。 ぜひいまから読んでおくことをお勧めします! 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

ーー人間しか愛せないーー神の言葉の真意に震えろ「狐王は龍の娘を離さない―玉翠国物語―【完結】」

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画像: 狐王は龍の娘を離さない―玉翠国物語―【完結】 愛を知らない神を癒したのは、災いをもたらすという 驪竜 ( りりょう ) だった―― 本ブログで三回目の特集になります、城月りりあ先生のウェブ小説です 今までのポストはこちら↓ 耽美な束縛愛に身を投げろ「愛に飼われて 騎士団長と奴隷姫」 美しい神と生贄の少女の物語「龍の神に捧げられた私―碧禮国物語―」 題名は「 狐王は龍の娘を離さない―玉翠国物語―【完結】 」 美しい世界観と流麗な文章が魅力の「りゅうかみシリーズ」の第2編、第1編に相当する 「龍の神に捧げられた私―碧禮国物語―」 よりも、少し時代が下った時期の話になり、ネタバレには注意してください(今作だけでも十分たのしめます) まずは第1編の世界観のおさらいです! 科学が進みすぎたことにより世界の大半を人類は破壊してしまい、神に供物をささげることで加護を得るという古代さながらの生活を人類が強いられてしまう、もしかしたらあるかもしれない未来が舞台になっています。 前作は供物として捧げられた女の子と龍神のお話でしたが、今回は 狐王の白葉と龍神 驪珀 ( りはく ) の娘である 驪明 ( れいめい ) が主人公 になっています。 四つに分かたれた神の世界のうちの一つを治める王であった白葉は、隣国から黒い髪の龍神・ 驪明が来るのを楽しみにしていました。口を開く度に白葉に結婚を迫るも、あっさりと白葉は撃沈させてしまいます。それでもどこか居心地がよく、姪っ子と叔父さんみたいな距離感で頻繁に会う二人。 一途な 驪明が片思いから脱することができずコロコロと白葉の手のひらで転がされる物語かと思いきや……。 白葉がふとした隙にみせる底なしの暗い目が読者としては気になるところ 。 一方驪明は災いをもたらすとされる驪竜として、どこか後ろ指をさされるような生活を抱えています。そんな驪明は、白葉のとある秘密を知ってしまい……? 白葉と驪明の間には様々な苦難が横たわり、とうとう驪明は驪竜として覚醒してしまいます(色々すっ飛ばしましたが読んで確かめて!) 二人の愛は苦難を乗り越えられるのか?はたまた二人はどうなってしまうのか?それももちろ

初心者にもわかりやすいプログラミングの教科書「やさしいC」

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画像: アマゾン 手取り足取り教えてくれる感覚 今回ご紹介するのは、プログラミング言語であるCを優しく教えてくれる本です その名も「 やさしいC 」 そもそも私がプログラミングを勉強しようと思い立ったのが、「理系だしちょっとやっといた方がカッコいいかなあ……」程度のかる~い動機ででした。 Progateやドットインストールなどの無料でプログラミングが学べるサイトなどに登録してちょいちょいやってましたが、やはりそのサイトも非営利でやってるわけではありませんから大事なところは有料(課金制?)なわけです。 いつもあと一歩突き詰めることができずにもやもやしておりました。課金すればいいじゃないかと思われるでしょうが、そこまで本気なわけでもなかったのです。 そこで、大学の図書館に購入希望を出しやっと手に取った初めてのプログラミング参考書が、これだったわけです。なんというか、もやもやが晴れるようで読むのが楽しかったです。 初心者に優しい構成で「まずは書いてみよう!」というスタンスで進むので「そういうもんなのか」と思いながら読むと苦ではないと思います。そして最初は暗記したものが後になって理論の裏付けを得たりします。その過程が面白かったり。 アマゾンのレビューを見る限りあくまで初心者用の参考書であり、これだけで何か商品が作れるわけではないそうなのですが、入門書としてはなかなかいい本なのではないかと思いました。なんかCにもいっぱいあるみたいなので(C++とか?)同じシリーズの他の言語の本も読んでみたいと思います。 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村