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もふもふを愛でよ!「 絵筆の召喚術師 ~神絵師が描いたら何でも具現化できました~ (ドラゴンノベルス)」

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‪ 絵筆の召喚術師 ~神絵師が描いたら何でも具現化できました~   今回は、異世界転生小説の紹介記事を書かせていただきます。 この作品は異世界転生であり、主人公は若くして亡くなったアニメーターです。 自身が関わったアニメで絶大な信仰を獲得できたお礼に、と神にとてつもない能力を与えられて転生します。信仰あるところに神あり、というのは日本的な感じがします。 アニメーターとして、タブレットと水だけで健康を顧みず描き続けた主人公。過労死するのも当然のところですが、彼は死んでも絵を描くことを好きであり続けました。 というか、物語の最中ずっと、彼の真の願いは「絵を描きたい」に尽きるのです。 しかし、物語中盤から怪しげな影がその存在を臭わせてきます。 世界樹に干渉し、主人公メネウを敵視する存在—— 何度か戦いを経験し、いざこざも解決し、仲間がいることやおいしいものを食べる喜びを知ったメネウが、悪意ある神の手で転生する前のアニメーター生活に戻ってしまったシーンが印象的でした 。 アニメーター時代も、仕事には誇りを持ち描くことが嫌いではなかったはずの、メネウこと和也。しかし、痩せこけ真の人生の楽しみを知らない自分の姿に恐怖し、それを拒絶します。 和也が過労死しなかったifの世界、もしメネウがそれを受け入れていたら、和也を転生させた張本人の神もメネウとしての人生に戻せなかったとか。 ……とハードな展開を予想させてしまいましたが、内容はとてもほのぼの。 もふかわいい獣が召喚されたり、神々しい神獣とハグしたりします。 無意識にチートするメネウに周りの人間も呆れ気味(笑) 物語はまだまだ続きがありそうなので、続編に期待します! 春瀬由衣

異世界転移が嫌いな人にこそ読んでほしい!「獣医さんのお仕事in異世界」

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画像: いらすとや 今日はアルファポリス文庫の「獣医さんのお仕事in異世界」をご紹介します。 ご購入はこちらから!! 物語は、例のごとく主人公が異世界に召喚されることから始まります。 しかし、彼自身のいわゆる「こちら側」での生活の描写がまったくないわけではありません。 公務員獣医、という、「獣医の地味担当」と主人公自身がいうような、家畜などの衛生を管理する――ときには行政の立場から全頭殺処分を命じなければならないような、そんな職業についている主人公。 明確に言及されるわけではありませんが、主人公には苦い過去があると考えられます。作中で頻繁に、 殺してしまう命以上の命を救ってやる 、と主人公が言う場面があるからです。 そして主人公自身、 異世界で無双できるわけではありません 。 召喚された異世界では、過去に四人の「こちら側」の人間を召喚し異世界側の問題を解決させてきた歴史があります。 彼らにとっての異世界、すなわち「こちら側」の人間は「 マレビト 」と呼ばれ、中世ほどの文明しかもっていない異世界においては豊富な知識を持つマレビトは度々国同士の均衡を崩しかねないファクターとして振る舞ってきました。 歴代のマレビトは戦術やドラゴンを手なずける技で異世界に大きな功績を残しましたが、その背後では国同士の利権が絡みます。 大国の均衡を揺るがしかねないマレビトである主人公は、むやみやたらに素性を明かすわけにもいかず、身をやつして行動する場面もあります。 一方で、戦争で名を立てたマレビトは人を救う英雄として持ち上げられますがその背後では人が死んでいます。 獣医という職業の主人公は、歴代のマレビトのようには振る舞えません。力が強いわけでも、戦術に優れているわけでもなく、ただ一人の人間として異世界に相対する存在です。 是が非でも「英雄」になってもらわなければいけない背後の思惑があり、武術に優れた歴代のマレビトと比べ獣医の主人公のマレビトとしての素質を疑問視する視線も見え隠れします。 主人公は獣医としての知識を技量で、異世界の人間たちの信頼を一から獲得しなければなりません。もちろん異世界を歩む上での理解者はいますが、十分ではありま...

よくも悪くも、何もかもが正反対の友軍ーエイティシックスEp.5 死よ、驕るなかれー

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読了後、表紙の配置が秀逸だと感じた今作。 表紙はこちら 引用: アマゾン 虐げられる者と迫害する者の2元論が、それを主導していた共和国の崩壊とそれに伴うエイティシックスの解放から、単純化されることなくより入り組んでくる。それを表すような表紙の構造になってます。 世界で唯一の専制君主国家となった、ロア=グレギア連合王国が、今作の舞台。前作で主人公シンエイが<聴いた>、主を失ってなお暴走するレギオンの開発者と思われる声を探し、連合王国と共同作戦をとる。 王国側の代表としてシンエイらと相まみえたのは、王位継承権を剥奪された異能を持つ王子。そして彼が率いる部隊は―― シンエイが王都で、死者の脳構造を取り込んだレギオンの声を聞く。それはあまりにも自分たちに近すぎてシンは戸惑う。そんな戸惑いを見透かしたように、王子は告げる。 これは人造妖精<シリン>であると。 ある意味、共和制として自由と平等を標榜する共和国がエイティシックスという<人ならざるもの>を作りだしたよりは人道的なのかもしれない。専制君主制という自由には遠いように思える王都では、人種を表す様々な色彩の者たちが一見平和的に交流していた。 この国では兵役を担う者が臣民、納税義務を負う者が隷民という区別がある。負うものの違いだけだと王子は笑う。人を人ならざるものと断じた共和国より人道的に思える。 しかし、シリンの正体にシンたちすら怖気だつ。嫌悪感すら露わにするエイティシックスすらいた。 シリンらは、死者の脳構造を取り込んだ、戦闘に特化された被造物。 死が定められた戦場でそれでも戦い抜くことを誇りとしたエイティシックスは、それでも人間であった。シリンは既に死んだ者であって、使い捨てられることをむしろ誇りとも捉えている。ある意味似ており、ある意味正反対。 フレデリカが言う。自分たちの存在について考えるためには、エイティシックスにとってこの出会いは重要なものであるだろう、と。 あらすじを述べましたが、実際はもっと濃い濃い物語なのです!私ごときの話術では伝えきれなひ(´;ω;`) そしてアンジュ推しの方は色々な意味でハラハラするに違いない……戦地のなかで孤立してイチャイチャすな!(Ep.5唯一のほっこりパート、なのかな???) えっと、作者サン...

断絶は、繰り返す「86-エイティシックス-Ep.4 」

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originally posted in 2018-8-30 86シリーズの最新刊、Ep.4の書評です。 以下ネタバレが含まれますのでご注意ください。 引用:アマゾン ★。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。★ 共和国人のレーナとエイティシックスのシンは、連邦で再会する。彼らの共闘は、共和国北部の地下にあった。  今作で特徴的なのは、連邦によってレギオンから〝救われた〟立場の共和国臨時政府のなかで、ある勢力が台頭していること。  エイティシックスを正しく運用すれば十分に勝機はあったとし、〝有人式無人機〟のプロフェッサーであるエイティシックスをモノとして、連邦側に返還を求める。  有色人種だけを戦場に追いやり、自分たちはのうのうと平和を享受しただけではなく、いざ大攻勢のときには戦わずに散っていった、アルバと呼ばれる白人たち。彼らは連邦による保護下に置かれてもなお、エイティシックスを豚扱いするのに余念がない。 どの面下げて、と憤るかと思えば、シンたちエイティシックスは意にも介さず日常を送る。 強いのではなく、弱いところを擦り落とされることでしか生きてこれなかったという言葉が重い。 エイティシックスらも、白人たちのことを〝白ブタ〟と蔑んでいる。お互いに、相手を人間を思ってはいない。 共和国のアルバが作りだした壁は、エイティシックス側からも強固に補強されている。 同じ人種のアルバたちの横暴や傲慢に憤り、自分の罪のように思うレーナは、シンの「レーナは別だ」という言葉に、アネットというシンの幼なじみはシンの記憶のなかに自分がいないことに、謝罪する機会すら与えられずに苦しむことになる。 バトルの描写も、相変わらず汗を握りますが、「人間同士の断絶」ということが注意深く描かれていると感じました。 この世界観が好きでたまらない私としては、5巻が楽しみで仕方がありません。 いまからでもこのディストピアに、戦いに酔いしれてください。 春瀬由衣 サイト訪問者の皆さまへ ブログランキング参加中です。下のリンクをぽちっと投票お願いします(๑•̀ㅁ•́ฅ✧ 人気ブログランキング にほんブログ村

似たもの同士の戦場 「86―エイティシックス― Ep.3」

originally posted in 2018-8-5 えー、ハードなディストピアものの第3巻です。お待ちかねです。 以下ネタバレを含むのでご注意ください ★。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。★ 所感 読み進めるごとに、「重厚な人間劇を書かれる……実に重厚だ……」と思うほど、読み応えのある第3巻。案の定レギオンには苦戦を強いられ、共和国を彷彿させる無謀な作戦に彼らは従うことになる。 守るべきものも、帰るべき場所もないのに、何故。 そんな読むのが相変わらず辛い物語を読み終えて、読後のお楽しみの後書きに突入。 ワイ「なんだとおおおおおお」 作者曰く、2~3巻はプロットの段階では軽快なバトルものに過ぎなかったとか。 ワイ「どこにその面影があるんですか怒りますよ!」 そんな3巻です。ハイ。ハイ…… 概要 帝国最後の女帝フレデリカと、エイティシックスのシン。2人は過去に囚われているという点で似通っており、それでいて少しだけ違う。 フレデリカには、レギオンに取り込まれたかつての騎士を討たなければならないという理由があった。しかし、シンは「兄を討つ」という生きる理由を果たしてしまっていた。その点シンはフレデリカの先を歩いているともいえる。 5年後に定められていた死を前に、誇り高く戦う。そうやって折り合いをつけることで筆舌に尽くしがたい荒涼とした世界を生きてきた彼らにとって、平和に長く生きることができる世界、は苦しい呪いに過ぎなかった。 無謀な行軍で討ち果たすべきは、生き残った人類の希望のすべてを射程に収めた要注意戦力。そしてくしくもそれは、フレデリカが愛した近衛兵の亡霊だった……。 絶体絶命のシンを救ったのは、幼い女帝とかつてのハンドラー。互いに死んだ者と思っていた2人が再会する。1巻の終わりに、やっと我々は追いついた。 好き……救いようのない世界好き…… 4巻が楽しみですッ 春瀬由衣

――安寧は、囚われと変わりないから 「86-エイティシックス- Ep.2」

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originally posted in 2018-7-8 86-エイティシックス-Ep.2 ラン・スルー・ザ・バトルフロントのレビューです。 ※シリーズ2作目の本著ですが、以下の書評には1作目のネタバレが含まれます。ご注意ください ※ ★。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。。o○o。★ レギオンから土地を取り戻し、連邦の手によって再会したレーナとシン。これは彼らがレギオンの大侵攻から生還する前のお話。 「行きつくところまで行きついて」、病室で目覚めたシン。地の果てから湧いてくる無人機”レギオン”の生みの親である帝国は、革命で連邦と名を変えていた。その暫定大統領に保護され、一時の平和を享受するかつてのエイティシックスたち。 暫定、大統領 連邦にも事情があった。レギオンの攻勢に耐えるべく兵士が必要なのは変わりなく、革命以前の階級のしこりもまだ残る。 そんななか、彼らエイティシックスは、再び戦場に向かう。幸せになれと願う大人には残酷だが、死した仲間を想うからこそ、平和な町は自分たちの居るべき場所ではないと知る。 同時に、大統領に保護されていた帝国最後の女帝フレデリカにも、戦地に赴く理由があった――。 前作に引き続き、熾烈な戦いを強いられる子どもたちの物語。彼らにとって、戦地の存在を忘れ安寧を享受することは死者の想いを継ぐことと同義ではなかった。 上下巻の上である本作はそれだけで完結しているわけではありませんが、新しい土地と新しいキャラクターの織りなす物語にもっともっと入り込みたいと思ってしまう構成でした。 個人的には、フル・フロンタルの某セリフを思い浮かべたり……(笑) 下巻も読み次第レビューさせていただきます! ディストピアに生き様あり。 春瀬由衣

彼らにとって死さえ自由の平原だった「86―エイティシックス― 」

originally posted in 2018-6-24 86―エイティシックス― 電撃文庫 安里アサト著についての書評です。 85の区画内に、優等人種の白人だけがのうのうと暮らし、ヒトとして認められなかった者(有色人種)だけが戦闘区域で次々と押し寄せる敵部隊に死んでいく…… 俗に86(エイティシックス)と呼ばれるようになった有色人種たちは、共和国の自由と平等の概念からはみ出した豚として扱われ死んでいく。そして共和国は、「人間の尊厳を守り戦時増税もせず敵を跳ね返し続ける国」として国民(白人たち)の喝采を浴びる…… ラノベと侮るなかれ。使われている通信技術が”知覚同調”でなく”無線”なら、押し寄せる敵が”AI型無人機”ではなく”ISに洗脳された自爆兵器”なら、86(エイティシックス)は現代劇になる。そして、今もなお存在し続けているのかもしれない。 存在してはならない者たちの悲哀―― 人の意識の奥深くに眠る差別意識と、言葉のすり替えによる安寧に、痛々しいまでに明かりを当てた本作は、光を覗き込む側の私たちが光に目を潰されるかもしれない、衝撃のディストピアファンタジーである。 兎に角、読んでくれ。しゅごい。 春瀬由衣

手に汗握る身分差恋と空戦「とある飛空士への追憶」

originally posted in 2018-4-18 「とある飛空士への」で始まる恋と空戦の物語の一冊目の物語です。 恋と空戦の物語とあるように、兎に角何に対しても手に汗握ってしまう作品。 敵対しあう二つの国の民族の血を引く主人公狩乃シャルルは、混血児を指す蔑称の「ベスタト」という最下層民として帝政天ツ上の民と神聖レヴァーム皇国の民にいつもいじめられていた。  彼の母は幼い主人公を残し言いつけを守らなかったことである屋敷の召使いを解雇され死ぬ。それから彼はいつも一人だった。  凄惨なそのくらしに主人公が何とか耐えられたのは、とある貴人のお嬢さんとの淡い思い出だった。死にかけていた彼は神父に助けられ、やがて傭兵として飛行機に乗ることになる。  空には身分が無い、それが彼を空に向かわせる要因だったが、ある日敵国の包囲網に囲まれた孤島から次期皇妃を脱出させる任務に就くことになる。しかしお嬢さんはあの頃と違い、監視される暮らしに心を閉ざして笑み一つ見せない。  一方彼女は幼い頃に規律を破って寝るまでの間寄り添ってくれた女性の召使いに恩を感じており――。  敵国の編隊から逃げる描写は息を呑み、死を間近に感じたお嬢さんは生をその身に取り戻す。生死の境で彼女をファナと呼んだシャルルは、しつこく追尾してきた敵の戦闘機の一翼がもげたことを確認した。  恋にも戦闘にも、別れにも心打たれる傑作です。飛行機好きはたまらんだろうなあ。  ぜひ手に取って結末をみてくださいね(*'ω'*) 春瀬由衣