手に汗握る身分差恋と空戦「とある飛空士への追憶」
originally posted in 2018-4-18
「とある飛空士への」で始まる恋と空戦の物語の一冊目の物語です。
「とある飛空士への」で始まる恋と空戦の物語の一冊目の物語です。
恋と空戦の物語とあるように、兎に角何に対しても手に汗握ってしまう作品。
敵対しあう二つの国の民族の血を引く主人公狩乃シャルルは、混血児を指す蔑称の「ベスタト」という最下層民として帝政天ツ上の民と神聖レヴァーム皇国の民にいつもいじめられていた。
彼の母は幼い主人公を残し言いつけを守らなかったことである屋敷の召使いを解雇され死ぬ。それから彼はいつも一人だった。
凄惨なそのくらしに主人公が何とか耐えられたのは、とある貴人のお嬢さんとの淡い思い出だった。死にかけていた彼は神父に助けられ、やがて傭兵として飛行機に乗ることになる。
空には身分が無い、それが彼を空に向かわせる要因だったが、ある日敵国の包囲網に囲まれた孤島から次期皇妃を脱出させる任務に就くことになる。しかしお嬢さんはあの頃と違い、監視される暮らしに心を閉ざして笑み一つ見せない。
一方彼女は幼い頃に規律を破って寝るまでの間寄り添ってくれた女性の召使いに恩を感じており――。
敵国の編隊から逃げる描写は息を呑み、死を間近に感じたお嬢さんは生をその身に取り戻す。生死の境で彼女をファナと呼んだシャルルは、しつこく追尾してきた敵の戦闘機の一翼がもげたことを確認した。
恋にも戦闘にも、別れにも心打たれる傑作です。飛行機好きはたまらんだろうなあ。
ぜひ手に取って結末をみてくださいね(*'ω'*)
春瀬由衣