――安寧は、囚われと変わりないから 「86-エイティシックス- Ep.2」

originally posted in 2018-7-8

86-エイティシックス-Ep.2 ラン・スルー・ザ・バトルフロントのレビューです。


※シリーズ2作目の本著ですが、以下の書評には1作目のネタバレが含まれます。ご注意ください目

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レギオンから土地を取り戻し、連邦の手によって再会したレーナとシン。これは彼らがレギオンの大侵攻から生還する前のお話。

「行きつくところまで行きついて」、病室で目覚めたシン。地の果てから湧いてくる無人機”レギオン”の生みの親である帝国は、革命で連邦と名を変えていた。その暫定大統領に保護され、一時の平和を享受するかつてのエイティシックスたち。

暫定、大統領

連邦にも事情があった。レギオンの攻勢に耐えるべく兵士が必要なのは変わりなく、革命以前の階級のしこりもまだ残る。

そんななか、彼らエイティシックスは、再び戦場に向かう。幸せになれと願う大人には残酷だが、死した仲間を想うからこそ、平和な町は自分たちの居るべき場所ではないと知る。

同時に、大統領に保護されていた帝国最後の女帝フレデリカにも、戦地に赴く理由があった――。

前作に引き続き、熾烈な戦いを強いられる子どもたちの物語。彼らにとって、戦地の存在を忘れ安寧を享受することは死者の想いを継ぐことと同義ではなかった。

上下巻の上である本作はそれだけで完結しているわけではありませんが、新しい土地と新しいキャラクターの織りなす物語にもっともっと入り込みたいと思ってしまう構成でした。

個人的には、フル・フロンタルの某セリフを思い浮かべたり……(笑)

下巻も読み次第レビューさせていただきます!

ディストピアに生き様あり。

春瀬由衣

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