あなたの価値観を根底から揺るがすSF大作「ピーリング」


画像:エブリスタ

化粧品メーカー勤務の冴えない研究者が、
一匹の実験動物と出会ったことで波乱に巻き込まれていく――

命とはなにか考えさせられる作品です



あらすじ 

化粧品会社で地味な研究をしていた企業研究者だった主人公。ある一匹の実験動物との出会いがきっかけで、研究仲間を巻き込み世紀の大発見をする。それはガンを治す夢の薬の発見だったが、若返りという本来とは異なる使い方をする人が爆発的に増えてしまう。

開発者の主人公は利益をむさぼろうとする会社を相手に裁判で闘うが、大好きな人を苦しめ、非難の的にしてしまうーーそして、夢の薬の恐るべき真実に気づいたとき、物語は加速する。

一介の冴えない研究者だった主人公が、注目を浴び、それがゆえに闘い、色々なものを失いながらも成長していきます。やがて米国大統領とも知り合いに……

「ハルヤ。考えてくれたか」

「はい、大統領」

 みつきさんの手をぎゅっと握りしめた。

「僕は……、決行を望みます」

この最終章も近いという場面、主人公が背負ったものの大きさを考えると涙が出ます。

おススメポイント 

理系の私も読んでいて臨場感を感じられる世界観や設定で、新薬ができるまでの過程や権利関係のややこしい争いなどを主人公目線で体験することができます。

一方、個性的なキャラクターも魅力で、視点が変わることもしばしばあり、恋愛関係にヤキモキしたり……(淡い恋模様にも必見です!)

しかし、最終章に近づくにつれて物語は重くなります。どちらにしろ失うものの大きい決断を強いられ、主人公が突きつけられた選択肢はあまりにも過酷で辛いものだったでしょう。その決断に対応するように、愛する人とのたわいもない日常の描写が重いストーリーを際立たせます。

世界の禁忌とも呼ぶべきものに近づいてしまった科学者の壮絶な一代記をご覧あれ!

春瀬由衣


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